定期建物賃貸借(定期借家)契約管理
空き家問題の現状
昭和48年以降すべての都道府県で総住宅数が総世帯数を上回り、平成20年の調査時において空き家は全国で757万戸存在し、空き家率は13.1%(なんと約7戸に1戸の割合)にものぼります。(総務省統計局「平成20年住宅・土地統計調査」による。)
空き家の増加がもたらす問題
防災・防犯機能・安全性の低下、ゴミの不法投棄の誘発、景観・公衆衛生・地域全体におけるイメージの悪化等が大きな問題となっています。また、長期間放置された空き家は老朽化の進行が早い為、倒壊や老朽化に伴う破損等による事故の発生が危惧されています。
空き家を放置している主な理由として考えられるもの
①所有者の高齢化や死亡により空き家となり、利用予定がないまま放置。
②自宅に対する愛着がある。
③他人に貸すことへの不安や抵抗感(一度入居したら出て行ってくれないのではないか・・。)
④親の財産のため、親が健在な内は手を付けられない。
⑤家財道具や仏壇などがたくさん残っていて片付けるのが大変だ。
⑥朽廃寸前の廃屋だが、更地にすると土地の固定資産税が高くなる。
⑦相続したが、相続人間で意見がまとまらない。誰も管理したがらない。
⑧遠方に住んでいて管理できない。
などの理由が考えられます。
廃屋になる前に
朽廃寸前となってからでは家として活用することはできません。
家を活用するためには多少手を入れなければなりませんが、その家を長持ちさせるメンテナンス、リフォームの費用は家賃収入で充分に回収できるものです。
家財道具や仏壇などについても、空き家に置きっ放しにしておくだけでは何も解決しません。いつかは片付けなければならないわけですから。
不動産は持っているだけでは意味がありません。
管理不全の状態に陥る前に、保有している間は、もう1つの年金として活用しましょう。


※一度貸したら出て行ってくれないのではないか? とご心配の方へ
A.借地借家法第38条(定期建物賃貸借)を活用する。
期間満了日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(再契約)を締結する場合を除いて、期間満了日までに物件を明け渡さねばなりません。
普通賃貸借契約の場合、貸主側の明け渡しを要望する主張が正当事由に該当するケースは非常に少なく、スムーズな明け渡しを求めることは大変難しいことです。
しかし、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)の場合は期限が来れば契約が終了するわけですから、必ず返してもらえるということになります。(但し、貸主は期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主に契約が終了することを通知する必要がある。)
万一、入居者が物件を明け渡さなかった場合、それは正常な権利に基づくものとは言えません。